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清風掃々第31号 平成30年6月発行
巻頭言〝 攀念智(はんねんち)を持つな〟
〈「致知」の佐藤しのぶ氏との対談より〉

 

高校時代の恩師・佐光義民先生に教えていただいた言葉「攀念智(はんねんち)を持つな」。
その先生はいつも持ち歩いていた小さく切った紙に「攀念智」と書いてくれて、言葉の意味は、人を恨んだり憎んだりする念のことで、こんな念を持つと持った人のエネルギーを奪い取っていき、次に進むことができなくなると繰り返し教えてくれたのです。

今思うとこの時の教えが、苦境に立ったとき役に立ったと思います。
私が独立した頃も業界の悪しき習慣に立ち向かおうと仕事に取り組んだわけですからことごとく反対されました。
とんでもない壁がいくつも立ちはだかることになるわけです。
もちろん、壁を倒すことはできなくても、少しずつ少しずつ努力することで小さな風穴を開けることはできたわけです。

そして徹底した掃除に取り組んだときも、25年前自分の周りだけでなく社会にその掃除を広めようと思って動いたときも、いろんな苦境がありました。
それでも耐え、前に進もうとすることで、少しずつ支援してくれる人たちが増えて今に至るわけです。
今思うと、こんな逆境・苦境に立ったとき自分を支えられたのは、佐光先生がメモに書いてくれたこの「攀念智を持つな」という言葉があったからなのです。
そのとき、教えられたことは今でもよく憶えています。
攀念智の“攀”は、しがみついてよじ登ること。
人を恨んだり憎んだりする念は、何かにしがみついてよじ登るかのごとくエスカレートしていくという。
だから、自分のエネルギーを失い、それだけでエネルギーを使い果たしていくのです。

この言葉のお陰で私は、“忍”という大舟に乗ることができ、どうにか今に至るわけです。
さまざまな逆境こそが、自分を鍛え、学びとなり、結果自分を支えてくれたのだと思います。

「いかなる教育も逆境に勝るものなし」 ディズレーリの言葉より