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清風掃々第27号 平成28年6月発行
巻頭言「感謝の心」
 

掃除をしている時、「こんなことは自分がすることじゃない、しょうがないから今やっている」という人が時々います。
しかし、それでは態度に表れてしまいます。
表情にも眼差しにも。
そうなると、人と良いコミュニケーションを取ることはできません。

徹底した掃除をすることは、お互いの長所、欠点を知り合え、補い合い、助け合う関係を築きます。
それが、チームを良くしていくのです。 
助け合っていくためには、人との縁がないとできません。
親子、兄弟、友人…さまざまな縁がありますが、縁というのは目には見えないものです。
色がついていたり、線が引っぱられているものではありません。

しかし、目で見えないことには、大切なことがたくさんあります。
みなさん一人ひとり心がありますよね。
自分の心を見たことがありますか。
ないですよね。

しかし、「あの人は心がきれいだ、汚い。あの人は心が温かい、冷たい、狭い、広い」と人はよく言いますよね。
「あの人は心が広い」、それはどこで見るのか。心は見えないはずなのに。
なぜ見えるのかというと、それはその人の行動を通して見ているのです。
つまり、心遣いです。
人に対してどういう心遣いをするかによって決まっているのです。
心遣いのできない人は心が狭いのです。
絶えず周囲の人に心遣いをしていくと、あの人は心が広い、温かいと言われますね。
その人の行動に心が表れているのです。

心が広い人、温かい人、そういう人は良い縁ができます。
良い人との縁が、できるのです。
できれば良い縁はいつまでも続けていきたい、悪い縁は持ちたくないし、仮にできたとしたら早く断ち切りたいものです。

しかし、良い縁ほど簡単に消えてしまうのです。
この縁を続かせるにはどうしたらいいでしょう。
それは、感謝の心を持つことです。
両親、祖父母、先祖を含め、自分の過去を含め、人間だけでなく、私たちがこうして安全に生きていくことができる自然環境も含めて全てに感謝する心があるときに縁はつながるのです。

そして、過去に感謝する人は未来への責任感が湧いてきます。
言い換えれば、過去に感謝する人のみが、未来への責任を持つことができるのです。

過去も未来もない人はどういう人でしょうか。
過去がないのですから、未来がありません。
今だけよければいい、そして私さえよければいいという刹那的な考え方になるのです。

私は掃除を通して少年院、刑務所に行ったことがあります。
刑務所にいる人たちの共通点は何か。
みんな刹那的ということです。
過去もなければ未来もない、人のことを考えない、自分さえよければいいという考え方の人たちです。

では、犯罪者だけかというとそれは違います。
そういう考えの人は世の中にたくさんいます。
そういう人たちは決して幸せな人生を送ることはできないのです。